左のワイドミラーには、それなりに満足していた。
見える範囲が広がり、バイクのすり抜けや左折のときの不安が、少しだけやわらいだ。
これは左ミラーを交換した時の話だ。
左の次は、右もワイドミラーに。
そうなると、気になってくるのは右側のサイドミラー、もちろんこれも平面ミラー。
空冷ビートルのミラーは、左右どちらも今の車に比べて死角が多い。ちょっと心もとないのは、右も同じだった。
そこで、右側もワイドミラーに交換することにした。
少しでも視認性を上げて、安心して運転できるように。
──つまりは、左と同じことをもう一度、というわけだ。
会社名は、「鏡ネット」
注文したのは、「鏡ネット」というミラー専門のネットショップだった。
まず、ミラーの型紙を取って、それを郵送する。
すると、型紙どおりにカットされたワイドミラーが、3〜4日ほどで届く。
価格は、送料込みで7,700円(2022年2月時点)。
手頃な価格だと思った。
でも同時に、型紙がちゃんと取れるのか、素人が貼ってはがれないか少しだけ不安だった。
注)鏡ネットから、ミラーディーラーに社名変更していました。(2025/4現在)
注文の流れ
サイトでミラーを選び、注文する。
数日後、型紙キットが郵送で届く。
いまあるミラーの型を取り、説明書どおりに型紙を作成して返送する。
型紙どおりにカットされたワイドミラーが、しばらくして届く。
届いたワイドミラーを、既存のミラーの上に両面テープで貼り付けて完成。
ワイドミラー取り付け──予定外の展開
まずは貼り付け面を丁寧に磨く。ついでに全体も軽く磨いて、エアダスターでホコリを吹き飛ばして、テープの貼り付けを、と。
完璧な下準備──そのはずだった。
ところが。
なぜかふと、水抜き穴にもエアダスターの空気を勢いよく吹き込んでみた。
意味があったのかは、よくわからない。けれど、なんとなく、やってしまったのだ。
ポコン。
純正ミラーが、外れた。
え?
「大変なことになった!」
一瞬、そう思った。手が止まった。
貼りつけるべき土台のミラーがなくなったのだ。
どうしよう──
いや、落ち着け。

方針転換!ワイドミラーを直接貼り付け
ちょっと待てよ。
ワイドミラーを直接はめ込んだら、どうなんだ?
そう思って、試してみた。
けれど──当然ながら、ぱちんと気持ちよく収まるわけもなかった。
貼り付けるしかない。
ただ、ミラーと本体のあいだには、白いパッキンが挟まっている。
どうやら、これがシリコン素材らしい。
シリコンに使える接着剤なんて、あるんだろうか?
またしても、得意の検索タイムが始まった。
──あった。

うまく接着できたようだった。
ぐらつきもなく、見た感じもしっかりしている。
けれど──やっぱり気になるほんの少しの隙間があった。
たぶん、僕が作った型紙の精度の問題だと思う。
ほんの少しだけだけど、縁にすき間ができてしまった。
雨がその隙間から入ったらどうなるだろう?
そう考えると、やっぱり放っておけなかった。
水まわり用のシリコンボンドで埋めれば、なんとかなるんじゃないか──
そう思って、ホームセンターに向かった。
そして、それらしきものを見つけた。
外れたのが、かえって良かった。
隙間を埋めつつ、ミラーの縁もきれいに仕上げた。

想定以上の出来栄えになった。

ワイドミラー取り付け後の使用感
次の日、接着剤が固まった頃、吸盤をワイドミラーに貼り付けて、そっと引っぱってみた。
──動かない。
しっかり固定されていた。バッチリだ。
シリコンシールで仕上げたワイドミラーは、見た目もなかなかいい。
自己満足かもしれないが。

ためしに走ってみた。視認性もたしかに向上した。もちろん外れもしない。
ただし、ミラー自体が小さいせいか、後方確認のときには、やっぱり首を振る必要がある。
それでも──交換してよかったと思っている。
ワイドミラーにしたからといって、すべての死角がなくなるわけではない。
でも、「ちょっと見やすくなった」というだけで、運転中の気持ちがすこし軽くなる。
古いクルマに、ちいさな安心をひとつ。
それだけで、なにかが変わる気がする。
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