ハワイはワーゲンが似合う。
10年以上前のことになるでしょうか。
当時のハワイでは、空冷ビートルもワーゲンバスも、街中でよく見かけたものでした。
ハワイという土地は、ワーゲンがよく似合います。
ヤシの木と青い海を背景に、一台のくたびれたビートルが停まってました。ご主人はサーフィンに来たんでしょう。

その色あせた塗装も、年季の入ったナンバープレートも、そのすべてが椰子の木と海の風景にぴったりとマッチしていました。
思わずシャッターを切りました。
フィルムカメラの粗い質感もあいまって、その場の空気感まで写し取ってくれました。
今年ハワイに行った。
そして今年の初め、久しぶりにハワイを訪れました。
しかし、あの懐かしい空冷ワーゲンの姿は、もうどこにも見当たりませんでした。
代わりに目にしたのは、新しいワーゲンのバン「ID. Buzz」と、VANAGONでした。

ハワイでは、VANAGONでさえ新しく見えます。

環境問題に敏感なハワイでは、古い車を維持することが難しくなっているのかもしれません。
フードコートでディスプレイとして置かれたバスを見かけましたが、

ハワイで空冷ワーゲンを見つけるたびに感じたちょっとした嬉しさ、──今は少し、寂しさに変わりました。
フィルムで撮ったあの一枚は、今となっては貴重な記録になりました。

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