クルマいじりが好きな人なら、工具箱に1本は入っているスプレー。
それが「KURE-556(CRC)」である。アメリカで言えばWD-40だ。
僕のビートルにも、当然のようにCRCが入っていた。吹きかければ、驚くほど軽やかに動き出す。手軽で、安くて、どこでも手に入る。つまり、日本のガレージには欠かせない“定番”の一本ということになる。
WD-40を買った理由は、正直…
性能に関して言えば、CRCとWD-40の違いは、正直あまりよくわからない。
ネットでは「WDのほうが匂いがいい」「浸透力が上」「防錆性能に差がある」など、いろいろな意見が飛び交っている。けれど、僕の実感としては、どれもピンとこなかった。
では、なぜ買ったのか。
理由はひとつ、アメリカのYouTubeで見た作業風景のせいである。
整備中の背景に、さりげなくWD-40が映り込んでいた。それが妙にカッコよく見えた。
工具たちと無造作に並んでいるだけなのに、不思議と絵になるのだ。
青と黄色のラベルに赤いキャップ。とてもアメリカ的なビジュアル。
ただそこにあるだけで、ちょっと気分が上がる。──それは、たぶんクルマ好きの性(さが)なのだと思う。
雰囲気って、整備に必要?
たぶん、大事なのは「雰囲気」なのだと思う。
空冷ビートルに乗っている人なら、“HAZET”のツールを持っていると、どこかうれしくなってしまうのではないだろうか。
もちろん、日本製の“KTC”が悪いという話ではない。だが、そこには確かに“気分”というやつが存在している。
気分が乗れば、作業もはかどるし、ガレージで過ごす時間も、ちょっとだけ特別なものになる。
WD-40は、そんな気分を静かに盛り上げてくれそうな一本である。
実は、CRCはプロの整備士はあまり使わない?
ちなみに、これは余談である。
整備のプロやバイク屋の中には、CRCをあまり使わないという人たちがいる。WD-40も、同様の扱いである。
理由はいくつかある。
ひとつは、グリスを洗い流してしまうこと。
グリスが必要な可動部にCRCを吹きかけてしまうと、本来のグリスが流れてしまい、あとで調子が悪くなる場合があるそうだ。
それに、CRCは揮発性が高く、長期間の潤滑にはあまり向いていないという話もある。
要するに、プロたちにとっては「一時的な対処に使うもの」という位置づけなのだろう。
CRCでもWD-40でも。お好きなほうを。
「どちらが優れているか」じゃなくて、
気分とか、値段とか、まあ──そんなところで選べばいいのだと思う。
僕の場合、CRCは家に、WD-40は、車のそばにあると、なんだかしっくりくる。
──そんな感じかもしれない。
どちらも、それぞれに愛着のある一本だ。
──そうそう、忘れてはならない。
通好みの一本、WAKO’S(ワコーズ)のラスペネも、静かにそこに控えている。
みなさんにとっての“定番の一本”は、何だろうか。

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